「自分なんて、たいしたことない」「周りはできるのに、自分だけできない」……。
そんな否定的な気持ちが頭から離れないとき、『鬼滅の刃』に登場する我妻善逸の姿が、そっと心に寄り添ってくれるかもしれません。
善逸は、誰よりも「自分を信じられなかった」

我妻善逸は、怖がりで、泣き虫で、いつも「自分には雷の型しかできない」と嘆いていました。仲間たちの勇敢な姿を目の当たりにするたび、「自分なんて弱い」という痛みを誰よりも強く感じていたはずです。
しかし、そんな彼が物語を通して少しずつ変わっていきます。それは、急に自信満々になったからではありません。弱さを抱えたまま、震えながらでも立ち上がることを選んだからです。自己肯定感とは、強くなることではなく、弱いままでも動く勇気を持つことなのかもしれません。
「怖い」と言えることが、本当の強さへの入り口

善逸の大きな特徴は、怖いときに「怖い」と叫び、泣きたいときに泣ける正直さです。強がって虚勢を張るのではなく、自分の脆さを一切隠しませんでした。
それなのに、いざという時には大切な誰かのために一歩を踏み出します。弱さを認めることと、弱さに甘んじることは違います。「怖い」と認め、その自分のまま前に進む善逸の姿は、「完璧な人間にならなくても、今のままでやれることがある」と教えてくれます。
全部できなくていい。たったひとつの「型」を磨く
善逸に使えるのは、雷の呼吸の「壱ノ型」だけでした。彼はそれを「ひとつしかできない」と卑下していましたが、師匠の言葉を信じ、そのひとつを極限まで磨き上げました。
「自分には何もない」と感じているあなたの中にも、実は「これだけは」という種が眠っているかもしれません。器用にあらゆることをこなせなくても、たったひとつ、自分の中にあるものを信じてみること。自己肯定感とは、「自分はすごい」と過信することではなく、「弱いままの自分でも、ここにいていい」と受け入れることから始まるのです。
【慈問】
自分の中の『小さな強み』を褒めてあげるとしたら、それはどんなさりげないことですか?
あなたの内側から届いた、小さなサインに。
物語を鏡にして見えてきた、あなたの本当の気持ち。
一人で抱えるのが重たくなったときは、
そっと隣で並んで歩かせてください。
言葉にすることで、心は少しずつ呼吸しやすくなります。

