頼まれると、断れない。求められると、応えたくなる。
「大丈夫?」と聞かれれば、つい「大丈夫」と答えてしまう。
期待に応えることが、自分の役割だと思っていた。それが愛情だと、ずっと思っていました。
でも気づいたら、その重さに疲れていた。どこかでずっと、息が詰まってはいませんでしたか。

零くんも、期待に応え続けていた
『3月のライオン』の桐山零は、将棋で勝ち続けることで、自分の居場所を守っていました。周囲の期待に応えることが、そこにいていい理由だった。
勝てなければ、必要とされなくなるかもしれない。そんな恐れが、彼をずっと駆り立てていました。でも彼は、その重さの中でだんだん追い詰められていったのです。
期待に応え続けることは、自分を削り続けることでもある。それは愛情というより、消耗だったのかもしれません。

「応えたい」と「応えなきゃ」は、違う
すべての期待に応えなきゃいけないわけではありません。相手が望むことと、あなたが望むことは、ときに違います。
「応えたい」と思って動くのと、「応えなきゃ」と思って動くのは、全然違う気持ちです。
「応えなきゃ」から動いているとき、どこかで自分が消えていく感覚がある。本当の優しさは、自分を犠牲にすることではない。そのことに、少しずつ気づいていっていいのです。

自分への期待を、大切にする
零くんが少しずつ変わっていったのは、川本家という「ただそこにいていい場所」を得てからでした。役に立たなくても、勝たなくても、そこにいていいと感じられる場所。
他人の期待より、自分が自分に持つ期待を大切にしていい。「私はどうしたい?」その問いを、少しだけ先に立てるようになると、期待の重さが変わってきます。
期待に応えることで愛される関係より、そのままでいられる関係のほうが、ずっと長く続くからです。

あなたの内側から届いた、小さなサインに。
物語を鏡にして見えてきた、あなたの本当の気持ち。
一人で抱えるのが重たくなったときは、
そっと隣で並んで歩かせてください。
言葉にすることで、心は少しずつ呼吸しやすくなります。

